○田子町協働のまちづくり条例

平成二十一年六月十日

条例第十七号

前文

私たちの田子町は、みどり豊かな恵まれた自然のもと、先人の英知と努力により伝統と文化がはぐくまれ、にんにくをはじめとする地域の特色をいかした産業の発達と活力あるまちとして発展してきました。

先人から受け継いだこのまちを、すべての人が生涯にわたり知性と文化を高め、健康でいきいきと安心して暮らし、働くよろこびを知り、子どもたちが将来に希望を持ちながらすこやかに成長できるまちとして次代に引き継いでいくことが私たちの願いです。

ここに私たちは、田子町民であることに誇りを持ち、一人ひとりの人権が尊重され、町民主体によるまちづくりが保障され、町民、事業者、町及び議会がそれぞれ社会にはたす役割を自覚しながら、協働のまちを推進することを町政運営の基本とし、町民すべてが幸せになる田子の実現のために、この条例を定めます。

第一章 総則

(目的)

第一条 この条例は、町民が主体となった自治と、参画と協働による開かれた地域運営をすすめるために、田子町における基本原則を定め、もって魅力ある個性豊かな田子の地域社会の実現をはかることを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号の定めるところによる。

 町民 田子町内に在住し、又は通勤し、若しくは通学する個人をいう。

 事業者 田子町内に事務所又は事業所を有する法人又は個人をいう。

 議会 田子町議会をいう。

 地域コミュニティ 町民が連帯感をもって生活する一定範囲の基礎的な近隣社会をいう。

 協働 町民、事業者、町及び議会がお互いの果たすべき責務を認識し、それぞれの立場を対等なものとして尊重する考えのもと、公共的な目的をはたすため、お互いに協力して働くことをいう。

 町 町長の内部組織、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員、農業委員会、固定資産評価審査委員会及びその事務組織をいい、全体としていわゆる「田子町の行政組織」のことをいう。

第二章 基本理念

(基本理念)

第三条 田子のまちづくりは、地域の力をいかし、自らが考え行動するという自治の理念を実現し、町民一人ひとりの幸せをめざすために、町民、事業者、町及び議会の協働による地域の運営が行われることを基本とする。

第三章 権利及び責務

(町民の権利及び責務)

第四条 町民は、自由かつ平等な立場で地域の運営に参加する権利を有する。

2 町民は、前条に定める「基本理念」にのっとり、事業者、町及び議会とともに地域の運営を主体的にになう者としての自覚を持ち、協働による地域運営の推進につとめるものとする。

(事業者の責務)

第五条 事業者は、地域社会を構成する一員として、その役割を認識し、協働による地域運営の推進に対する理解と協力につとめるものとする。

(町の責務)

第六条 町は、第三条に定める「基本理念」にのっとり、総合的で計画的かつ効率的な町政運営を行い、また開かれた地域の運営に資するようにつとめなければならない。

2 町は、町民の自主的な地域の活動を促進し、もって協働による地域運営を推進しなければならない。

3 町は、政策形成に町民の意見を広く反映させるため、総合的かつ計画的な町の基本構想及びこれを具体化するための計画の策定など、重要な政策などの立案の過程において、町民参画の機会の確保につとめなければならない。また、町民の意見を傾聴しなければならない。

4 町は、町の政策、施策及び事業(以下「町の仕事」という。)について、その重要なものの企画立案及び実施に当たっては、その内容、必要性及び妥当性等を町民に明らかにし、わかりやすく説明する責務を有する。

(町長の責務)

第七条 地方自治法第一条にのっとり、町長は、町の代表者として、「地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保」につとめ、公正かつ誠実に町民に開かれた町政運営を行うとともに、協働による地域運営につとめなければならない。

2 町長は、協働による地域運営に対する町職員の理解が促進されるよう、意識啓発につとめなければならない。

(議会の責務)

第八条 議会は、町民の代表から構成される町の意思決定の議決機関として、常に広く町民から意見をもとめるようにつとめ、公正かつ誠実な議会運営を行わなければならない。

2 議会は、常に情報を町民に提供する開かれた議会運営を行わなければならない。

3 議会は、協働による地域運営がすすめられることにかんがみ、開かれた町政運営が行われるように監視を行わなければならない。

第四章 情報共有の原則

(情報の共有)

第九条 町、町民、事業者及び議会は、町の仕事を含め、地域の運営に関する必要な情報を相互に共有するようにつとめるものとする。

(情報共有の推進)

第十条 町は、情報共有を進めるため、次の各号に掲げるしくみを設けることにより、町の仕事及び地域の情報について総合的に共有するようにつとめなければならない。

 町の仕事に関する町の情報をわかりやすく提供するしくみ

 町の仕事に関する町の会議を公開するしくみ

 町民の意見及び提言などがまちづくりに反映されるしくみ

(附属機関等の委員の公募)

第十一条 審議会、委員会その他の附属機関の委員の選任は、町民の多様な意見を反映できるよう、適切にこれを行わなければならない。

(住民投票)

第十二条 町長は、町政運営上の重要な事項について、広く住民の意思を直接問う必要があると認めるときは、住民投票を実施することができる。

2 前項の場合において、町長は、住民の適切な判断に資するよう、投票に係る事案についての情報を提供しなければならない。

3 町長及び議会は、住民投票の結果を尊重しなければならない。

4 住民投票の実施に関し必要な事項は、そのつど条例で定める。

第五章 参画と協働の推進

(参画と協働の原則)

第十三条 町は、協働による地域運営を推進するため、町民の地域活動及び町政への参画が促進されるように必要な措置を講ずるものとする。

2 町は、前項の措置を講ずるにあたっては、町民活動の自主性及び自立性を尊重し、総合的かつ計画的に行わなければならない。

3 町民は、町民活動に対する理解及び地域を構成する者としての自覚を深め、参加及び協働につとめるものとする。

(地域コミュニティ活動の推進)

第十四条 町は、地域コミュニティ活動が促進されるように地域担当職員制度などの必要な措置を講ずるようにつとめ、地域コミュニティのしくみの構築について、情勢に応じて地域住民と協議し推進するようにつとめるものとする。

2 町民は、共助の精神をもって地域をささえる地域住民の一員であるという認識のもと、地域コミュニティ活動に対する理解を深め、参加及び協力につとめるものとする。

3 地域コミュニティをになう自治会などは、地域の実状に応じて柔軟で開かれた運営につとめるものとする。

(推進体制)

第十五条 町は、参画と協働の推進をはかり、その取り組みを見守るための町民からなる推進会議(以下「推進会議」という。)を常設のものとして設ける。

2 推進会議は、二十人以内をもって組織し、その推進会議の組織及び運営に関する事項は、町長が別に定める。

第六章 評価制度

(評価制度)

第十六条 町は、町民又は第三者からの意見を傾聴し、町政運営の評価を行うものとする。

2 町は、町政運営について、よりよい評価のしくみづくりにつとめなければならない。

第七章 条例の位置付け

(条例の位置付け)

第十七条 町は、政策などの立案、及び条例、規則などの制定又は改廃にあたっては、この条例の趣旨を尊重し、整合性を図るものとする。

2 町民及び事業者は、地域の運営にかかわるときは、この条例の趣旨を尊重しなければならない。

第八章 雑則

(条例の見直し)

第十八条 町は、社会情勢などの変化を踏まえ、この条例の施行後四年を超えない期間ごとに、この条例が田子町にふさわしいものであり続けているかどうかなどを検討するものとする。

2 見直しにおいては、推進会議による検討を経なければならない。

(委任)

第十九条 この条例の施行に関し、必要な事項は、町長が別に定める。

この条例は、平成二十二年四月一日から施行する。

田子町協働のまちづくり条例

平成21年6月10日 条例第17号

(平成22年4月1日施行)