○田子町犯罪被害者等支援に関する条例

令和六年十二月九日

条例第二十三号

(趣旨)

第一条 この条例は、犯罪被害者等基本法(平成十六年法律第百六十一号)に基づき、犯罪被害者等支援に関し、基本理念を定め、町並びに町民等及び事業者等の責務を明らかにするとともに、犯罪被害者等の支援に関する基本的事項を定めることにより、犯罪被害者等が必要とする施策を総合的に推進し、もって犯罪被害者等の権利利益の保護を図るとともに、社会全体で犯罪被害者等を支え、誰もが安心して暮らせる地域社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の定義は、当該各号に定めるところによる。

 犯罪等 犯罪及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為をいう。

 犯罪被害者等 犯罪等により被害を受けた者及びその家族(被害を受けた者が死亡した場合は、遺族をいう。以下、同じ。)をいう。

 二次的被害 犯罪被害者等が犯罪等による被害を受けた後に、行政機関の職員その他関係者及び町民等並びに事業者等による偏見、無理解、差別等による配慮に欠ける言動、インターネット等を通じて行われる誹謗中傷、報道機関による過剰な取材等により被る精神的苦痛、身体の不調、プライバシーの侵害、名誉の毀損、私生活の平穏の侵害、経済的損失その他の被害をいう。

 再被害 犯罪被害者等が当該犯罪等の加害者から再び受ける被害をいう。

 犯罪被害者等支援 犯罪被害者等が、その受けた被害を回復又は軽減し、二次的被害及び再被害を受けることを防止し、再び平穏な生活を営むことができるようにするための取組をいう。

 関係機関・団体等 犯罪被害者等のための施策に関係する機関及び団体(犯罪被害者等の団体を含む。)をいう。

 民間支援団体 関係機関・団体等であって民間の団体をいう。

 町民等 町内に住所を有する者、居住する者、勤務する者、通学する者及びそれらの者が町内において組織する団体をいう。

 事業者 町内において事業活動を行う個人及び法人その他の団体をいう。

(基本理念)

第三条 全ての犯罪被害者等は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を受ける権利を有する。

2 犯罪被害者等支援は、犯罪被害者等が受けた被害の状況及び原因、犯罪被害者等が置かれている状況その他の事情に応じ、適切に行われるとともに、当該犯罪被害者支援等により二次的被害及び再被害が生じることのないよう十分に配慮して行わなければならない。

3 犯罪被害者等支援は、犯罪被害者等が被害を受けたときから再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間、二次的被害又は再被害を防止、又は軽減できるよう必要な支援を途切れることなく受けることができるよう行わなければならない。

(町の責務及び連携協力)

第四条 町は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、犯罪被害者等支援のための施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

2 町は、前項に定める施策が円滑に実施されるよう、国、他の地方公共団体、関係機関・団体等、民間支援団体及びその他の関係する者(以下「関係機関等」という。)との連携及び協力を図るものとする。

(町民等の責務)

第五条 町民等は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等の尊厳、犯罪被害者等の置かれている状況及び犯罪被害者等への支援の必要性についての理解を深め、犯罪被害者等の名誉、プライバシー及び生活の平穏を害する等により二次的被害及び再被害を与えることのないよう十分に配慮し、犯罪被害者等を地域社会で孤立させないよう努めるとともに、町及び関係機関等が実施する犯罪被害者等支援のための施策に協力するよう努めるものとする。

(事業者等の責務)

第六条 事業者等は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等の尊厳、犯罪被害者等の置かれている状況及び犯罪被害者等への支援の必要性についての理解を深め、犯罪被害者等の就労及び勤務に当たって二次的被害及び再被害を与えることのないよう十分に配慮し、犯罪被害者等が平穏な生活を取り戻すために必要な各種の手続、刑事司法及び民事司法への参加等についても十分に配慮するよう努めるとともに、町及び関係機関等が実施する犯罪被害者等支援のための施策に協力するよう努めるものとする。

(支援窓口の設置)

第七条 町は、犯罪被害者等の支援を実施するために総合窓口(総合的対応窓口)を設置する。

(相談、情報の提供等)

第八条 町は、犯罪被害者等が日常生活及び社会生活を円滑に営むことができるようにするため、犯罪被害者等が直面する各般の問題についての相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行うとともに、関係機関等の連絡及び調整を行うものとする。

(保健医療サービス及び福祉サービスの提供)

第九条 町は、犯罪被害者等が犯罪等により心身に受けた影響から回復できるようにするため、その心身の状況等に応じた適切な保健医療サービス及び福祉サービスを受けられるよう、必要な支援を行うものとする。

(安全の確保)

第十条 町は、犯罪被害者等が二次的被害及び再被害を受けることを防止し、その安全を確保するため、関係機関等と連携し、一時保護、施設への入所による保護、防犯に係る指導、犯罪被害者等に係る個人情報の適切な取扱いの確保その他の必要な支援を行うものとする。

(居住の安定)

第十一条 町は、犯罪等により従前の住居に居住することが困難となった犯罪被害者等に対し、居住の安定を図り、犯罪被害者等が二次的被害及び再被害を受けることがないよう、公営住宅の活用その他必要な支援を行うものとする。

(雇用の安定)

第十二条 町は、犯罪被害者等の雇用の安定を図るとともに、二次的被害及び再被害を防止するため、犯罪被害者等が置かれている状況及び犯罪被害者等の支援の必要性について、事業者等が理解を深め、犯罪被害者等の事情に配慮した職場環境の整備等が促進されるよう、必要な支援を行うものとする。

(経済的負担の軽減)

第十三条 町は、犯罪被害者等が受けた被害による経済的負担の軽減を図るため、見舞金の給付等必要な支援を行うものとする。

(推進体制の整備)

第十四条 町は、関係機関等と連携し、犯罪被害者等支援の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、必要な体制の整備に努めるものとする。

(人材の育成等)

第十五条 町は、犯罪被害者等支援を適切に行うため、相談、情報の提供等の犯罪被害者等支援を担う人材の育成及び資質の向上のため必要な措置を講ずるものとする。

(民間支援団体に対する支援)

第十六条 町は、民間支援団体が適切かつ効果的に犯罪被害者等支援を推進することができるよう、犯罪被害者等支援に関する情報の提供及び助言その他の必要な支援を行うものとする。

(町民等及び事業者の理解の増進)

第十七条 町は、犯罪被害者等が置かれている状況、犯罪被害者等支援の必要性並びに二次的被害及び再被害の防止の重要性について、町民等及び事業者等が理解を深めることができるよう、情報の提供、啓発活動等を行うものとする。

(意見等の把握)

第十八条 町は、犯罪被害者等が必要とする施策の策定及び実施に資するため、犯罪被害者等の意見及び要望を把握するよう努めるものとする。

(委任)

第十九条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。

この条例は、公布の日から施行する。

田子町犯罪被害者等支援に関する条例

令和6年12月9日 条例第23号

(令和6年12月9日施行)