県境産廃不法投棄事件の概要

青森県八戸市の三栄化学工業(株)が埼玉県の産業廃棄物処理業者である縣南衛生(株)と共謀し、平成11年4月から11月にかけて、ごみ固形化物(RDF様物)約8千トンを両県にまたがる同社事業場敷地内に不法投棄したことで、両法人及び両法人の代表者が平成12年5月に逮捕・起訴されました。その後両県の調査により、岩手県二戸市側の事業場敷地内に有機塩素系溶剤がドラム缶詰めで不法投棄され、両県の事業場内の発酵堆肥化施設の偽装堆肥の一部には揮発性有機化合物が混入されているほか、多種多様な廃棄物の投棄が確認されています。

不法投棄された廃棄物量・種類
  青森県田子町側(現場西側)
  廃棄物量 約84.1万立方メートル(約124.5万トン)
  廃棄物の種類
堆肥様物(約27.9万立方メートル→全て有害産業廃棄物)
焼却灰(約26.2万立方メートル→全て有害産業廃棄物)
汚泥(約7.5万立方メートル→うち1.4万立方メートルが有害産業廃棄物)
RDF様物(約5.5万立方メートル→全て有害産業廃棄物)
  上記のほか、平成22年8月3日付で青森県より、廃棄物及び廃棄物混じりの覆土・盛り土、汚染土壌合わせて約17万立方メートルの増加が見込まれる旨の発表がありました。
  汚染土壌:現時点では1.07万立方メートルと見込まれています。

  岩手県二戸市側(現場東側)
 

廃棄物量約324,320トン(約24.9万立方メートル)
有害産業廃棄物    247,540トン
普通産業廃棄物     76,780トン

  廃棄物の種類・性状
揮発性有機化合物が混合された燃え殻・汚泥が主体、燃え殻が主体、汚泥が主体、堆肥様物が主体の大まかな4分類(主体廃棄物に多種多様な廃棄物が混合)
  その他廃棄物によって汚染された土壌 142,180トン
有害土壌          26,750 トン(N地区の浄化実績による)
その他の土壌      115,430 トン(N地区の浄化実績を基に比重を見直し)

両県合計廃棄物量 約109.0万立方メートル(約157.0万トン)
(東京ドームの容量のおよそ4/5以上に相当します)
  ※「有害産業廃棄物」とは、特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法(産廃特措法)第3条の規定に基づく「特定産業廃棄物に起因する支障の除去等を平成24年度までの間に計画的かつ着実に推進するための基本的な方針」(基本方針)に定める「特別管理産業廃棄物又はこれに相当する性状を有する廃棄物」のことです。

原因事業者等の概要
  三栄化学工業㈱(平成13年6月に解散登記)
    施設所在地 田子町大字茂市字川倉ノ上(中間処理施設及び管理型処分場)
産廃処理業許可 収集運搬、中間処理(発酵堆肥化)、最終処分…既に平成12年8月に取消
  縣南衛生㈱(平成12年10月に浦和地裁から破産の宣告)
    所在地 埼玉県北葛飾郡栗橋町(廃棄物のRDF化を実施)
  事業場面積(事業場内は全て、三栄化学工業㈱会長(故人)の個人所有地)約40 ha
    青森県田子町大字茂市字川倉ノ上(牧場・田・山林) 約22.0ha 
  うち投棄場所約11 ha
岩手県二戸市大字小端(畑・山林・牧場)      約17.7ha 
  うち投棄場所約16 ha
※なお、青森県側の不法投棄場所の土地については、相続人から平成16年3月に青森県に寄附されています。