生化学自動分析装置

 

 

 採血した血液や尿などの体液成分を分析し、蛋白、脂質、酵素、電解質などを測定します。測定結果から体に異常がないか、どの部分の疾患なのか、炎症があるのか、栄養状態はどうかなどを推測するために必要な検査機器です。

 令和5年1月29日に新しい機器に更新しました。

 

当診療所の生化学自動分析装置でできる検査

肝機能検査

 AST(GOT)、ALT(GPT)は肝細胞で、γ-GTP は胆管でつくられる酵素で、いずれも「トランスアミナーゼ」と呼ばれます。

 肝細胞が破壊されると血液中に放出されるため、その量によって肝機能を調べることができます。

 

測定項目

 AST(GOT)、ALT(GPT)

 健康な方の血液中にもみられますが、肝臓に障害が起こって肝細胞が壊れると、血液中に流れる量が増えるため、値が上昇します。

 心筋や骨格筋、赤血球中などにも多く含まれているASTと比べて、ALTは主に肝臓中に存在しているため、肝細胞の障害の程度を調べるのに適しています。

 健康な人ではALTよりASTが高値を示しますが、肝障害の場合はALTの方が高くなります。

 

 γ-GTP

 肝臓、腎臓、膵臓などの細胞に含まれており、これらの組織に障害が起こると血液中に流れ出てきます。

 またアルコールに敏感に反応し、肝障害を起こしていなくても、普段からよくお酒を飲む人では数値が上昇します。

 ただし健康な人は一時的にγ-GTPの数値が上昇してもすぐにもとに戻ります。

 一定期間禁酒した後にγ-GTPの再検査をすれば、アルコールによる上昇か、肝臓や膵臓などの障害による上昇か区別できます。

 

疑われる病気

 AST(GOT)、ALT(GPT)の値が高いとき

  急性肝炎劇症肝炎慢性肝炎、アルコール性肝炎、脂肪肝、肝硬変、肝がんなど

 

 γ-GTPの値が高いとき

  急性肝炎慢性肝炎肝硬変、肝がん、アルコール性肝障害、非アルコール性脂肪性肝炎、薬剤性肝障害、胆道系疾患など

 

 

血中脂質検査

 血液中の中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロー ル、総コレステロールの数値を調べます。

 生活習慣病の1つである脂質異常症(高脂血症)の疑いがあるかを調べる検査です。

 

測定項目

 LDLコレステロール

 一般的に悪玉コレステロールと呼ばれています。

 肝臓にあるコレステロールを全身に運ぶ役割をします。

 過剰になると血管の壁に蓄積して動脈硬化を引き起こす原因になるため、「LDLコレステロールが高い=悪い」とされています。

 

 HDLコレステロール

 一般的に善玉コレステロールと呼ばれています。

 体内の余分なコレステロールを回収し、血管にたまったコレステロールを肝臓に戻す役割をします。

 HDLに存在するコレステロールが多いということはコレステロールの処理が良好であり、動脈硬化のリスクが低い(=良い)ことを意味します。

 

 中性脂肪(トリグリセライド)

 中性脂肪は「エネルギーの貯蔵庫」として、人が生きるために重要な役割を担っています。

 また、寒さや暑さから体を守り体温を一定に保つ「断熱材」、衝撃を吸収する「クッション材」、臓器を所定の位置に保つ「パッキング」としての役割なども持っていますが、増え過ぎると肥満の原因となり、脂肪肝、糖尿病などの疾患を引き起こす要因となります。

 中性脂肪値は、特に、過食、アルコール摂取過多により値が上昇する傾向にあります。

 

 総コレステロール

 総コレステロール値を下げるためには、食生活の見直しや適度な運動、禁煙、摂取するアルコールを減らすなど、生活習慣の見直しが必要になります。
 

疑われる病気

 LDLコレステロールの値が高いとき

  心筋梗塞や狭心症・脳梗塞などの動脈硬化性疾患

 

 中性脂肪(トリグリセライド)の値が高いとき

  脂質異常症、糖尿病、ネフローゼ症候群、膵炎、甲状腺機能低下症 など

 

 中性脂肪(トリグリセライド)の値が低いとき

  吸収不良症候群や肝硬変 など

 

 

血糖検査

 検査当日の朝食を抜いた空腹の状態で採血し、血糖値を測る検査です。

 糖尿病の疑いがあるかを調べます。

 

測定項目

 HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)

 赤血球中のヘモグロビンという色素のうちどれくらいの割合が糖と結合しているかを示す検査値です。

 過去1-2ヶ月の血糖値の平均を反映して上下するため、普段の血糖値が高い人はHbA1c値が高くなり、低い人はHbA1c値も低くなります。

 

疑われる病気

 HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の値が高いとき

  糖尿病

 

 

多項目自動血球分析装置

 

 

 貧血や炎症、白血病などの血液疾患の指標となる赤血球、白血球、血小板等の大きさや数の分析、および白血球形態分析(好中球、リンパ球、好塩基球などを分類し、その比率を算出)に必要な検査機器です。

 

貧血検査

 血液検査により、血液中の「赤血球数」「ヘモグロビン」「ヘマトクリット」を調べて診断します。

 

測定項目

 血液素量(ヘモグロビン)

 血色素(ヘモグロビン)は赤血球中の赤い色素の成分です。

 酸素と結びつく性質を持っており、血色素(ヘモグロビン)値は酸素運搬機能をもっとも反映する数値でもあります。

 そのため、赤血球数が正常値でも、ヘモグロビンが不足していると貧血になります。

 そこで血色素測定検査は、採取した血液の赤血球中のヘモグロビンの割合を調べることで、貧血の有無を判定します。

 

 赤血球数

 赤血球は血液中の血球成分の1つで酸素を運ぶ働きがあります。

 通常、血液中の赤血球はある一定量に保たれていますが、なんらかの原因で赤血球が減少すると、酸素運搬機能が低下して貧血となります。

 また、赤血球が増加すると多血症となり、血管の流れがわるくなります。

 この数値を調べると貧血などを見つける手がかりになります。

 

 白血球数

 白血球は、体内に侵入した細菌やウィルスなどの異物から、からだを守る免疫機能の中心的な役割を担っています。

 体内に異物が侵入したときや、白血球を作る骨髄に異常が起きたときは、白血球が急激に増加します。

 また、白血球を作る細胞のはたらきが低下しているときは、白血球が減少します。  

 

 ヘマトクリット値

 ヘマトクリットとは、一定量の血液の中に含まれる赤血球の容積の割合をいいます。

 ヘマトクリット値検査ではこの割合を調べることで、主に「貧血」の有無が分かります。

 

疑われる病気

 血色素量、赤血球数、ヘマトクリット値の値が高いとき

  多血症

 血色素量、赤血球数、ヘマトクリット値の値が低いとき

  貧血、出血

 白血球数の値が高いとき

  膠原病、感染症、アレルギー疾患、白血病、がん

 白血球数の値が低いとき

  膠原病 がん

 

尿化学分析装置

 

 

 尿に含まれる成分から体に異常がないか検査します。

 健康診断では糖、蛋白、ウロビリノーゲン、潜血を測定します。

 

測定項目

 尿糖

 尿中のブドウ糖の量を調べる検査です。

 腎臓の機能低下や、血糖値が一定数値を超えたときに再吸収しきれなくなり尿中に糖が漏れ出てきます。

 まず考えられる病気としては糖尿病がありますが、妊娠中や高齢の場合は糖が出やすくなります。

 

 尿蛋白

 尿に含まれるたんぱく質の量を調べる検査で、腎臓が正しく機能しているかどうかがわかります。

 腎臓の機能が低下していると、本来は腎臓で処理されるべきたんぱくが尿に混じって排出されてしまいます。

 激しい運動をした後や生理前後、発熱時、ストレスがあるときなどは異常値が出ることもあります。

 

 ウロビリノーゲン

 胆汁に含まれるビリルビンが腸内細菌によって分解されてできる物質がウロビリノーゲンです。

 尿中のウロビリノーゲンの増減によって肝臓や胆道の異常を調べることができます。

 尿中にウロビリノーゲンが大量に出た場合は肝臓の障害が疑われ、検出されない場合は胆道閉塞などが疑われます。

 

 尿潜血

 尿に血液が混じっているかどうかを調べる検査で、尿が排出されるまでの器官に異常があると潜血が見られます。

 一時的な潜血はよくあることで、一度潜血が見られたからといって疾患があるとは限りません。

 また、生理中の女性が尿検査を受けると、潜血と診断されることもあります。

 

疑われる病気

 尿糖に異常があるとき

 糖尿病、甲状腺機能亢進症  

 

 尿蛋白に異常があるとき

 ・腎盂腎炎、ネフローゼ症候群、糸球体腎炎など腎臓の病気
 ・膀胱炎、尿道炎などといった尿路の異常

 

 ウロビリノーゲンに異常があるとき

 ・陽性(+):肝臓障害、溶血性貧血

 ・陰性(-):胆道閉塞、抗生物質の大量投与 等

 

 尿潜血に異常があるとき

 ・急性腎炎、慢性腎炎、腎結石などの腎臓の病気や腫瘍
 ・尿管結石、尿管腫瘍、尿管異物などの尿管の病気や腫瘍
 ・膀胱炎、膀胱結石などの膀胱の病気や腫瘍
 ・尿道炎、前立腺炎などの尿道の病気や腫瘍

 

血液ガス分析装置

 

 

 血液中のpH、酸素、二酸化炭素の量を測定する検査で、主に呼吸の状態や体内の酸塩基平衡(酸とアルカリのバランス)を調べます。

 通常臨床では動脈血を採血して検査を行います。

 

疑われる病気

 pCO2が低いとき

  呼吸器不全

 

 

オージオメーター(聴力検査機)

 

 

 左右各耳について、ヘッドホンを通じて1000Hz(低音域)30dB、4000Hz(高音域)40dB(雇い入れ時検査では30dB)の音を聞き、音が聞こえた時点でボタンを押して合図をし聴力の検査をします。

 

疑われる病気

 音の聞こえが悪いとき

  伝音性難聴、感音性難聴、混合性難聴

 

心電図検査

 

 

 両手首と両足首の4ヶ所、胸に6ヶ所電極を取り付け、心臓から発生する電流を機械が感知して心電図を記録します。

 脈の乱れ(不整脈)や、心臓の筋肉の状態(心肥大・狭心症・心筋梗塞)などがわかります。

 

疑われる病気

 異常波形が記録されたとき 

 不整脈、心肥大、狭心症、心筋梗塞